目次
スペックについて
自動車のカタログを見ると、
馬力やトルクといった言葉が良く出てきます。
自動車評論家の方も「トルクが…」とかN・m(ニュートンメートル)とかいう言葉が聞かれますが
どういう意味なのか分かっている方は少ないはず…
そこでエンジンのスペックを測る言葉一覧について紹介したいと思います。
デミオを例に
マツダデミオ(現マツダ2)を例にとると、
エンジンタイプ | SKYACTIVE-G |
エンジン型式 | S5-DPTR型 |
総排気量 | 1496cc |
圧縮比 | 12.0 |
最高出力 | 81kW<110PS>/6000rpm |
最大トルク | 141N・m<14.4kgf・m>/4000rpm |
燃料供給装置 | 筒内直接噴射 |
排気量=エンジンの大きさ
排気量 (はいきりょう)とは、内燃機関の燃焼行程に関わる容積の大きさを示す数値で、エンジンの性能指標のひとつである。
Wikipediaより
エンジンは、シリンダーといわれる筒の中に燃料と空気を混ぜて燃焼し、爆発させることでエネルギーを発生させるんですね。そのシリンダーに入る空気と燃料の大きさが”排気量”といわれるものです。したがって、実際にエンジンが排気する量ではないので注意が必要です。
つまりエンジンの大きさを表します。
排気量が大きいと、送り込む燃料の量も大きくなりますから、燃費は悪くなります。
圧縮比=効率の良さ
圧縮比(あっしゅくひ、英: Compression Ratio/CR)とは、内燃機関及び外燃機関の内燃室(ないねんしつ)において、最も容積が大きくなる時の容量と、最も容積が小さくなる時の容量の比率を表す値
Wikipediaより
気筒内に燃料と空気が混ざり合っています。その時、最初に混ぜた混合気(燃料+空気)がどれだけ大きく爆発するかというのが圧縮比です。
圧縮比が高いほど同じ燃料で得られるパワーが大きいということになります。
つまり、圧縮比が高いほど、燃費もよくなる傾向にあります。
圧縮比は 1:12や12といった表記がされます。いずれも同じ意味で、気筒内に空気と燃料の1の混合気があるとすれば、12倍に爆発するという意味です。
最高出力≒速さ
最高出力とは、エンジンが発揮する最高の仕事量のことをいいます。あらわれてくるパフォーマンスとしては、自動車の最高速度と相関関係にあるといえるのではないかと思います。
エンジンのパワーの大きさを測る指標として使われます。
81kW<110PS>/6000rpm
これはエンジンの回転数が6000回転の時に81KWの仕事量という意味で、カッコ内のPSという単位は馬力を表し、81kWを馬力換算すると110PSになるという意味です。
国際的にはPSが使われることが多いです。
回転数が書かれている意味は6000回転まで回さないと110PSの力が得られないという意味で、
高回転だとエンジンは回せば回すほど力強さが増してゆくのに対し、
低回転だとある一定まで回すとそれ以上はパワーは頭打ちになるということになります。
スペック表を見る際は、
同じ馬力であっても、高回転まで気持ちよく回るエンジンを求める方は、
回転数が高いエンジンを選ぶとよいでしょう。
最大トルク=力強さ
最大トルクとはエンジンの力強さを表します。
このトルクが大きいと発進加速や高速走行などの上り勾配の際にスムーズな加速が得られます。
単位はkgf・mまたはN・mであらわされます。国際的にはN・m(ニュートンメートル)が使われます。
この値も、トルクとともに回転数が表記されており、
/の右側に書いている回転数が低いと軽くアクセルを踏むだけ加速でき、
静粛性を維持できる傾向にあるといえます。逆に回転数が高いと騒がしい印象になります。
なので最大トルクを見る際は、
回転数の低い車を選ぶとよいでしょう
最高出力と最大トルクの関係
そこで最高出力と最大トルクの関係を見てみましょう。
この2つの関係を結ぶのに必要なのが回転数です。
最大トルクと回転数の2つが組み合わさることで最高出力を生ずるのです。
最高出力=①最大トルク×②回転数(アクセル踏む頻度)
①と②の値が大きければ最高出力も大きくなります
ここで回転数というのがアクセルをどれだけ踏むかということです。アクセルを踏む頻度が増えれば静粛性が悪化、燃費は落ちる可能性があります。
車の動きを自転車で例えてみます。
電動アシスト(=トルク)のあるほうが出だしは良く坂道も登れます。電動アシスト(=トルク)がなければ、スピードが出るまでの時間がかかってしまいますね。しかしながら電動アシスト(=トルク)があれば、速いかといえば、そうとも限りません。高いギアがあるかどうか、リムの回転力なども伴わないと速く走れません。
車についても概ね同じことが言えます。
トルクがなければ、キックダウンを行ったり、もともとのギアをローギアード化したり、少しアクセルを踏んだだけで回転が上がりやすい設定をするなどしています。
まとめ
スペック表を見る際は、
最高出力発生時の回転数、最大トルク値、最大トルク発生時の回転数に注目しましょう。
中でも最大トルク発生時の回転数は、燃費、静粛性、パワーのいずれにとってもプラスに働くものなので、重要です。
最高出力発生時の回転数は高ければ、それだけ②の回転数が大きくなり、高回転まで気持ちよく回るエンジンという子が言えます。
そして最大トルク値が大きければ①のトルクが最高出力に対しプラスに働くので、最高出力は大きくなります。
最大トルク発生時の回転数が低ければ、少ないアクセルで大きな力を生み出すエンジンであるといえます。その分アクセル開度が小さくなり、燃費が良くなります。またエンジンを回す必要がなくなることから静粛性向上にも貢献します。
最近の傾向は?
最近の傾向としては、ディーゼルエンジン車やハイブリッド車が増えてきています。
こうした車は、最大トルク発生時の回転数が低い傾向にあり、燃費が良いのです。
マツダデミオのエンジンを比較してみましょう。
マツダデミオ ディーゼルエンジン車1.5L | マツダデミオ ガソリン車 1.5L | |
エンジンタイプ | SKYACTIVE-D | SKYACTIVE-G |
型式 | S5-DPTR型 | P5-VPS型 |
総排気量(cc) | 1498 | 1496 |
圧縮比 | 14.8 | 12.0 |
最高出力 | 77kW<105PS>/4000rpm | 81kW<110PS>/6000rpm |
最大トルク | 250N・m<25.5kgf・m>/1500-2500rpm | 141N・m<14.4kgf・m>/4000rpm |
燃料供給装置 | 電子式コモンレール | 筒内直接噴射 |
このスペック表を見るとガソリン車のほうが6000rpmで回転数が高いことがわかります。この結果からガソリン車のほうが高回転までスムーズに回ることがわかります。
ディーゼルエンジン車は最大トルクが大きい上、最大トルク発生時の回転数も1500‐2500rpmであり、これは1500‐2500回転の範囲で最大トルクを発生させるという意味です。1500rpmというとアイドリング状態から少しアクセルを踏み込むだけで達する回転域です。
最後に
車の性能を表すスペックは、あくまでも機械で計測した値です。スペックで大体の車の性能は予想できますが、車の味付けによって全く異なるもの乗り味になります。
実際に車を購入する際は、スペックには表れない素性の良さもあるので実際に試乗してみてくださいね。
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