ライバル車 徹底比較 【ミニバン編】 ノア/ヴォクシーVSセレナVSステップワゴン(2)

ミニバン

走り

ノア/ヴォクシー セレナ ステップワゴン
エンジン型式 3ZR‐FAE MR20DD L15B
総排気量 1986 1997 1496
最高出力 kW

(PS)/rpm

112(152)/6100 110<150>/6000 110(150)/5500
最大トルク  N・m

(kgf・m)/rpm

193(19.7)/3800 200(20.4)/4400 203(20.7)/1600-5000
燃料供給装置 EFI(電子制御式燃料噴射装置) 日産DI 電子制御燃料噴射式
燃費(㎞/L) 16.0 17.2 17.0

ノア/ヴォクシー

最大トルクの値自体はごく普通ですが、実用回転域では、スペック以上のトルク感があり、走りやすいです。CVTとの相性も悪くなく、思った通りに加速してくれます。アクセルを急に踏むようなシーンでもしっかりと、反応よく加速します。パワーも十分という印象です。足回りは、しっかりしていて、高速でもふわふわした印象はないです。凹凸を乗り越えた際の振動ももすぐに収まりフラットな印象です。

しかし、路面の荒れたところだとそれなりの突き上げを感じることがありました。16インチタイヤを履くスポーティモデルだと、少しファミリーカーとしては厳しいかなと思いました。

セレナ

パワー感はさほど感じないが、出だしは穏やかで、同乗者には優しいセッティングといえます。しかし、高速道路の合流時はかったるいように感じてしまいます。実際の速度は他2車に比べて特段遅いわけではないが、CVTの制御がそう感じさせてしまうようです。

エクストロニックCVTエンジンとの協調制御により、優れた燃費性能とスムースなレスポンス、力強い走りを実現

乗り心地は、一般道を走る限りでは、ソフトで衝撃を伝えてきません。しかし中速から高速域ではジョイントなどを超えるたびにふわふわした印象があります。また高速域では路面の細かい凹凸やざらつきを拾ってしまう印象がありました。

カーブでのロールは他2車と比べるとそれなりに感じますが、アクセルの反応、CVTの制御、足回りから、スピードを出すよりも同乗者のためにゆったりと走りたくなる車だと感じました。ミニバンとしては、これはこれで良いセッティングだなと思いました。

ステップワゴン

ステップワゴンはライバル2車と比べて排気量の小さいエンジンを積んでいます。しかし1.5Lターボエンジンは、最高出力、最大トルクともに2.0LNAエンジンと遜色ありません。むしろ最大トルク発生時のエンジン回転数が1600‐で、これは、アイドリング状態からほんの少しアクセルを踏むだけで到達できる領域である。

ターボでパワーを補い、エンジンの回転数を抑えることで燃費を向上させています。アイドリングストップシステムも標準装備。

この豊潤なトルクの甲斐あって、アクセル操作が一番容易だと感じました。かといって、出だしが唐突な印象もなく、言われなければ2.0Lいやそれ以上の排気量を感じさせる走りです。高速域では、2.0L並みの性能を感じます。低回転でトルクが豊潤であることは、上り勾配の時にも恩恵が得られます。そこまで回さなくても登り切れるので、静粛性の向上にも一役買っています。しかし、低速域ではターボエンジン特有のノイズを感じました。ここは好みが分かれるポイントだと思います。

絶対的な性能としては、ごく普通になるのではないかと思います。ボディがやや重たいので、エンジンを限界近くまで回し続けるようないシーンでは、ミニバンとしてごく一般的な性能しかないと思われます。限界まで回した時の性能は、ノア/ヴォクシーのほうが良いと思います。

まとめ

乗り心地

ステップワゴン>セレナ>ノア/ヴォクシー

ステップワゴンは全域で乗り心地の良さを感じました。低床低重心を謳うだけのことはあると思います。セレナとノア/ヴォクシーは好みが分かれるのではないでしょうか。ソフトで突き上げの少ないのがセレナ、しっかり感のあるのがノア/ヴォクシーでした。

加速性能

ノア/ヴォクシー>ステップワゴン>セレナ

ここは、走行シーンによって異なると思いますが、単純に速い順は?と聞かれたらこのような順番になると思います。一般道でのストレスのなさ、上り勾配での安心感はステップワゴン、停車状態から流れの速い車線に合流するような場合、中速から高速域にかけて限界までエンジンを回すシーンではノア/ヴォクシーが良いのではないでしょうか。

ロールの少なさ

ステップワゴン>ノア/ヴォクシー>セレナ

先ほどの乗り心地の評価と同様、ステップワゴンが優秀でした。

ステップワゴンの低床低重心パッケージ

安全性能

ノア/ヴォクシー セレナ ステップワゴン
サイドカーテンエアバッグ
ハイビーム自動切換え △(Vグレード以上は標準、その他オプション ) ×
自動ブレーキ △歩行者検知 〇歩行者検知
踏み間違い抑制機能 〇後方対応 △後方対応
車線逸脱警報
ステアリング維持制御 × △カーブも可 〇カーブも可
オートクルーズコントロール △レーダークルーズコントロール

(完全停止まで対応)

〇レーダークルーズコントロール

(ハイブリッドは完全停止まで対応)

各車特筆すべきポイント

ノア/ヴォクシー

アクセル踏み間違いに対してはノア/ヴォクシーが標準で、全面のみならず、後方にも対応しており、装備が充実している。

アクセル踏み間違い防止機能 全面のみならず、後面にも対応している

セレナ

オプションではあるが、半自動運転を可能にしたプロパイロット。前車との車間の維持、車線中央キープ、完全停止までを行う。渋滞の際も使える点で他車をリードしている。

電動パーキングブレーキ これを採用したことで、停止までを行うオートクルーズコントロールが可能となった。

電動パーキングブレーキ これを採用したことで、停止までを行うオートクルーズコントロールが可能となった。

ステップワゴン

ステップワゴンは安全装備が標準化されている点が特筆すべき点である。標準化すると、価格的には不利だが、あえてメーカー側から標準装備し普及させようという姿勢は称賛すべきである。加えて、全グレードでホンダセンシングが標準装備されており、特筆すべきである。

サイドビューサポートミラー(助手席側) このクラスでは、助手席側の下部を映しだすミラーの設置義務はないが、ステップワゴンでは全グレードに装備されている。

総評

総合力の高さなら…ノア/ヴォクシー

とりあえず、ノア/ヴォクシーを選んでおけば無難といえるでしょう。3車比較してみましたがセレナとステップワゴンの中庸を目指した車だと思いました。80点主義のトヨタらしい車だと感じました。言い方を変えれば、これといった魅力に欠ける車といえます。売れ行きでは3車の中ではトップですが、実力以上に売れているのかな、と思ってしまいました。また安全装備面についても、これはトヨタ車全般に言えることですが、上級車との棲み分けがなされていて、技術的には設置可能であろう安全装備が用意されていない点は残念だなぁと思ってしまいます。

8人いっぱい乗れて使い勝手を重視する人は…セレナ

シートアレンジの豊富さ、そして充実した安全装備。加速性能、ハンドリング、の乗り心地などのそういった緩い走りの設定も家族思いのお父さん向け。ミニバン戦国時代においてこれだけミニバン本来の性能をここまで愚直に追い求めた車は素晴らしいと思う。

しかし、安全装備のオプション設定は残念に思う。年々車の値段が上がっている昨今、安全装備などは後回しにされがち。ここをメーカー努力でリーズナブルな価格で標準装備してほしいところ。プロパイロットはガソリン車では285万もするGグレード以上でないと装着できない。オプション価格で24万だから、先進安全装備のついたセレナにおりたいと思ったら約310万からとなる。これではオプション装着をあきらめる人も多いのでは?

走りも安全もあきらめたくないお父さんは…ステップワゴン

走りのホンダといわれるように、そのスピリットが注がれていることを感じた。また安全装備についてもホンダセンシングを標準装備としたことは、素晴らしい。ただし、シートアレンジでミニバンとしての魅力が今一歩だなぁと感じました。特に2列目シートは子育て世代が最も重視するポイントであるだけに、非常にもったいないと思う。