交通事故などのニュースが流れるたびに安全な車に乗りたいと思う方は多いのではないでしょうか。
国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が行っている市販車の安全性能を評価する試験が自動車アセスメント(JNCAP)です。
今回は 予防安全性能評価 について紹介したいと思います。
衝突安全性能ランキングについては
2018年度から新基準となり『予防安全性能評価』の評価項目に「夜間歩行者被害軽減ブレーキ(街灯あり)」、「踏み間違い時加速抑制」、「高機能前照灯」が追加されました。
目次
「夜間歩行者被害軽減ブレーキ(街灯あり)」
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対歩行者に自動ブレーキが対応している車種であっても、夜間帯だと、歩行者が見えづらく自動ブレーキが作動しないことがあります。そこで夜間帯での性能を評価しようという意図でこの項目が追加されました。例えば、同じホンダセンシングでもカバーできる領域は異なっており、安全装備のクルマを買うときは詳細までじっくり見る必要があります。ホンダセンシングの性能差についてはコチラで書いています。『ホンダセンシングの車種ごとの性能差について』
対歩行者 夜間対応一覧
対歩行者自動ブレーキ | うち夜間も対応 | |
トヨタ | 22車種
(タンク/ルーミー、パッソ、 ハイラックス、アクア、カムリ、 プリウス、プリウスα、プリウスPHV、 マークX、ノア/ヴォクシー/エスクァイア、 シエンタ、ヴィッツ、ハリアー、 ランドクルーザー、 ランドクルーザープラド、CH-R、 ハイエース、センチュリー) |
5車種
(MIRAI、クラウン、カローラスポーツ、 アルファード/ヴェルファイア) |
ホンダ | 15車種
(レジェンド、アコード、インサイト、 シビック、グレイス、シャトル、 フィット、オデッセイ、ステップワゴン、 フリード、ジェイド、CR-V、ヴェゼル、 N-BOX、N-VAN) |
N-WGN【2018年モデル】 |
日産 | 6車種
ノート、デイズ、デイズルークス、 セレナ、エクストレイル、エルグランド |
不明 |
マツダ | 9車種
(デミオ*²、CX-3、アクセラ、 アテンザ、CX-5、CX-8、 ロードスター、ロードスターRF) |
5車種(CX-3、CX-5、
CX-8、アテンザ マツダ2*²) |
スバル | インプレッサ、XV、フォレスター、
レガシー、レヴォーグ、WRX S4 |
不明*1 |
三菱 | デリカD:5、アウトランダー、
エクリプス |
不明 |
*1記載がなかった場合は不明としています。どんな場面でも検知しないというわけではなく、検知する保証はできないのだと思います。
*²【2018年7月20日 追記】マツダデミオはマツダ2へと車名変更によるマイナーチェンジに伴い、夜間での歩行者の認識性能も向上しました。
「踏み間違い時加速抑制」
「高機能前照灯」
高機能前照灯とは、自動防眩型前照灯と自動切換型前照灯のことを指します。
自動防眩型前照灯: 前方の先行車や対向車を検知し、眩しさを与えないようハイビームの照射範囲のうち当該車両のエリアのみを部分的に減光します。
自動切替型前照灯:前方の先行車や対向車を検知し、ハイビームとロービームを自動的に切り替えます。
各メーカー対応状況一覧
自動防眩型前照灯 | 自動切替型前照灯 | |
トヨタ | アダプティブハイビームシステム | オートハイビームシステム |
ホンダ | ハイビームサポートシステム | |
日産 | ハイビームアシスト | |
マツダ | アダプティブ・LED・ヘッドライト | ハイビーム・コントロール・システム |
スバル |
||
三菱 | オートマチックハイビーム[AHB] |
これらの新たな判定基準が盛り込まれたうえで、新ランキングを公表したいと思います。
1位 トヨタカローラ スポーツ
総合得点 122.4点(126点満点)
注目すべき安全装備
プリクラッシュセーフティ(歩行者[昼夜]・自転車運転者[昼]検知機能付衝突回避支援タイプ/ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)
歩行者まで検知して
衝突を回避してくれる安全装備は増えてきているのですが、夜間まで対応してるものはまだまだ少ないです。そんな中カローラスポーツには、夜間まで対応した安全装備が備わります。
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そして、意外とすごいのが自転車に乗った人も検知して停止してくれるというのもです。
LTA(レーントレーシングアシスト)
高速域で車線内を走るように支援してくれる装備は珍しくないのですが、カローラスポーツに装備されているのが、車線の無い、もしくは見えにくい所で先行車の軌道をたどって逸脱しないように支援してくれるというものです。
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渋滞時など白線(黄線)が見えにくい、または見えない場合も、先行車を追従うしてステアリング操作を支援。
レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)
先行車との距離を適正に保ち、車間距離を維持してくれる装置はあるのですが、停車時まで追従してくれるものは、まだまだ少ないです。
メーカーにもよりますが30㎞/h位を下回ると、追従機能が停止し、ドライバー自信がブレーキを踏み、停車させる必要がありますが、カローラスポーツに搭載されるものは、停止までしてくれます。
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2位 スバルフォレスター
総合得点 122.3点
ツーリングアシスト
白線を認識し、白線内を走るよう車線維持してくれます。クルーズコントロールは追従から停車まで自動で行ってくれます。
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ツーリングアシスト
0km/h〜約120km/hの幅広い車速域*1で、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作を自動でアシスト。区画線と先行車の両方を認識することで、渋滞から高速巡航まで、
さまざまなシーンで運転負荷を大幅に軽減します。渋滞時
車間距離が狭い渋滞時など、区画線が見えない状況でも、先行車を認識して操舵を支援します。
混雑時
区画線が見えにくい混雑時や、カーブなどでも、区画線と先行車の情報を組み合わせて安定した制御を行いま
高速巡行時
区画線が見えにくい混雑時や、カーブなどでも、区画線と先行車の情報を組み合わせて安定した制御を行います。
(スバルHPより)
3位 ホンダ N-VAN
総合得点 120.6点
N-VANの素晴らしいところは、全グレードにホンダセンシングが付いている点です。
価格は1,267,920円~1,450,440円です。軽自動車としては、なかなかのお値段ですが、軽商用車としてこれまでなかった乗り降り性の良さ、便利な大開口ドアなど目を見張るものがあります。
ダブルビッグ大開口
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軽商用車といえば、フロントタイヤの上に座席があり、よじ登るようにして乗り込む必要がありましたが、N-VANは、通常の乗用車と同じように乗り込むことができます。高齢化社会において重要なことではないでしょうか。
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ホンダセンシング 後方誤発信抑制機能
ホンダセンシングの性能についてはコチラ「ホンダセンシング 車種ごとの違いについて」
コチラの記事でも紹介していますが、ホンダN-VANには、後方誤発信抑制機能というものが装着されています。
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不注意による急な後退を防止し、注意喚起します。
ホンダの中で後方誤発信抑制機能が付いているのは、N-VANとN-BOXのみとなっています。アコードやCR-Vなどの上級の車種にも採用されていません。日本一売れているN-BOXがベースとなっているので、使い勝手も素晴らしいです。ホンダ N-BOX 人気の理由について考察
4位 マツダ アテンザ
総合得点113.3点
最近飛躍的に安全性を高めているのがマツダです。
ドライビングポジション
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単に安全装備を装着するのみならず、そもそも事故を起こしにくいクルマ作りに力を入れています。
ペダルレイアウト
その1つが、ドライビングポジションです。適切なハンドル操作、ペダル操作のできる設計がなされています。
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左側が一般的な自動車のアクセルペダルです。右側がマツダが提案する理想的なペダル配置です。
実際乗ってみるとわかるのですが、足回りに余裕を感じます。クルマに乗ると必ず、ペダルには触れるので、こうした目立たないけど重要な部分に力を入れるマツダの姿勢は評価できます。
また、吊り下げ式よりもコストのかかるオルガン式です。
デミオにも採用されているのは素晴らしいですね。
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アクティブ・ドライビング・ディスプレイ
走行中に必要な情報をフロントガラスに表示してくれます。カーナビとも連動し進行方向及び走行すべき車線の表示も行ってくれます。
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その他の自動運転に近い装備についても、スバルに次ぐ出来の良さです。レーダークルーズコントロール、ハンドル支援など、これまで紹介したような装備はついています。
もちろん自動ブレーキについては、夜間の歩行者も検知します。
5位 スズキ ソリオ/三菱デリカD:2
総合得点 111.1点
軽自動車のイメージが強いスズキですが、普通車も作っています。ぱっと見軽自動車か普通車か見分けがつかないですが、ソリオは普通車です。
軽自動車では幅が足りないため、乗員定数が4人乗りとなりますが、ソリオは幅に余裕があるので5人乗りとなります。
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スズキ セーフティ サポート
オプション価格 86,400円
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スズキセーフティサポート標準装備一覧(ただし、全方位モニター用カメラはオプション)
デュアルセーフティサポート
なんと、夜間の歩行者まで検知してくれます。
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アダプティブクルーズコントロール
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ハイビームアシスト
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先行車発進お知らせ機能
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全方位モニター用カメラ
オプション価格 51,840円
メーカーオプションの「全方位モニター用カメラパッケージ装着車」には、クルマの前後左右に4つのカメラを設置。これに別売の対応ナビゲーション(販売会社装着アクセサリー)を組み合わせれば、クルマを真上から見たような映像などを映し出せる「全方位モニター」になります。また、見通しの悪い場所で人などが近づくとお知らせする「左右確認サポート機能」も前後に装備。運転席から見えにくい周辺状況の確認をサポートします。
俯瞰映像+前方/後方映像
サイド映像+前方/後方映像
3Dビュー(室外視点)
3Dビュー(室内視点)
全方位モニターで3Dビュー表示が可能なモデルってかなり少ないですよ。しかも51840円という価格で装着できるのでコストパフォーマンス良しです。
6位以下のクルマ
6位 三菱eKスペース/日産デイズルークス
7位トヨタカムリ/ダイハツ アルティス
8位 スズキ クロスビー
9位 三菱 エクリプス クロス
10位 ホンダ オデッセイ
10位のオデッセイですがデビューは2013年ですが、テストを行ったのが2018年ということでランクインしています。
今ランキングはあくまで参考までに。
衝突安全性能とは異なるので注意してください
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