マツダCX-30試乗しました。内外装は見たことがあり、とても質感が高かったので、試乗が楽しみでした。
目次
パワートレーン
直4 2.0L NA | |
最高出力 | 115kW<156PS>/6,000rpm |
最大トルク | 199N・m<20.3㎏f・m>/4,000rpm |
パワートレーンは、直列4気筒2.0Lガソリンエンジンです。ターボエンジンやハイブリッドが主流となった今では、目新しさには欠けます。
ちなみに2022年の年次改良では、24Vのモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド仕様となりました。
2022年 年次改良モデルのモータースペック
24Vモーター | |
最高出力 | 5.1kW<6.9PS>/1,800rpm |
最大トルク | 49N・m<5.0㎏f・m>/100rpm |
バッテリー | リチウムイオン電池 |
数値自体は大したことはありませんが、最大トルクが50N・m近く出ています。
これらが組み合わされたことにより、向上した燃費は、0.6㎞/Lほどです。
燃費の向上が目的というよりは、アイドリングストップからの始動の際の質感向上や、低速域での加速の滑らかさの追求といった効果が目立つのではないかと思います。
ドライブフィール
エンジン
とにかく”静か”でした。これはエンジンの性能だけでなく。ボディの剛性の高さ、遮音性の高さが相まって得られるものだと思います。
モーター駆動のハイブリッド車と比較すると、始動時にエンジン音はしっかりと入ってきますし、振動も伝わってきます。その点、ハイブリッド車は、エンジンを始動しても無音ですし、モーター走行している限り静粛性は保たれています。しかし、ひとたびエンジンが始動すると、エンジン音が結構耳に入ってくる印象になります。これはエンジン停止時と始動時の差が耳障りに感じるからです。それ以外のシーンでも、例えば、高速域でもロードノイズが発生しますよね。ハイブリッド車は、モーター走行時等、静かな一方ロードノイズが目立ってしまします。
CX-30の静粛性は、音圧変化がなく。ずっと静かなのです。
乗り心地
私はレンタカーで乗ってのですが、1台は1回目の年次改良を経たモデル、もう一台が初期モデルでした。印象は結構違ったのでそれぞれレビューしたいと思います。
2020年次改良モデル
至極しっとり滑らかな印象です。
初期モデル
荒れた路面での突き上げを感じることがあります。スポーティな印象です。
動力性能
車両重量は、ベースグレードのFFガソリン車で1420㎏です。今の時代、ライバル車では1.8Lハイブリッドや直3 1.5Lなど、エンジンの排気量もダウンサイジングしているので、直4 2.0LNAは、かなり贅沢な印象があります。
絶対的な性能としては、不満は一切ありませんが、ハイブリッド車やターボ車と比較すると平凡な印象です。
直4エンジンは、回転フィールも良く、低速域から高速域までずっと良い印象だったのは良かったです。
Gベクタリングコントロールの効果
私が、素人なりに感じたGVCプラスの効果を紹介したいと思います。
コーナリング時の挙動が安定する
これは、多くのクルマに乗ってきて感性が鋭い方なら気づくと思いますが、そうでない方ならきっと気づかないと思います。
なぜなら、CX-30の持っているポテンシャルが高いため、走りのよさが、GVCプラスの効果によるものかどうかがわかりにくいからです。もともとCX-30は、全高1,540㎜、ホイールベースも2,655㎜あり、もともと良い走りをする特性を備えているといえます。
しかし、私がなぜGVCプラスの効果を感じることができたかというと、
一般のクルマでは、低い速度域では出ない挙動が、GVCプラスでは出るという違和感があったからです。
普通に走る分には、全高の低いSUVですから、素直に曲がってくれるのですが、
ハンドルを切り始めた途端、後輪が浮き上がり、重心を移動させるような動きがあります。
もう少し速度が高い領域か、もしくはもっとタイトなコーナーでは、重心が移動するような動きは、より安定してコーナーを曲がれる安心感につなげてくれると思います。
私は、阪神高速の環状線(首都圏でいうと首都高のような、
比較的速度は低めで、ワインディングほどではないタイトなコーナー)のような道路で普通の速度で曲がる分には、
素直に走ってくれればよいと思ったので、ここは好みが分かれるでしょう。
無駄なハンドル操作を低減してくれる
これも、多くのクルマに乗ってきた方でないと、なかなか気づかないと思います。
だいたい30㎞/h以上で、大きめの段差や、ジョイントを越えたときにハンドルの無駄な動きが低減されていました。
段差やジョイントを乗り越えた時に普通のクルマでは、ピッチング(クルマが前後に動く)やロール(クルマが左右に動く)が生じます。
その時、クルマに、微妙に向きを変えようという動きが生じるので、ドライバーは無意識のうちにハンドルを修正します。マツダのGVCプラス装着車では、この動きが大きく低減されています。
でも、そんなのプラシーボ効果じゃないの?最近のクルマよくできているから、どのクルマもピッチング少ないんじゃないの?と思われそうなので、補足すると、
マツダのGVCプラス装着車は、ごく低速域ではロールやピッチングがあります。
足回りも柔らかめなので15㎞/h~20㎞/hくらいだと、結構車体が揺れますが、
速度域が上がってくると、なぜか揺れがなくなります。
ちょうど、巨人に天井を抑えてもらっているような感じがあります。
ものすごく大げさにいうと、ジェットコースターに乗った時のように、上からGがかかっている印象
(実際、エンジントルクによりGをかけています)
最近のクルマでいうと、トヨタではハリアーやヤリスなど、TNGAのシャシーを用いたクルマは軒並み走行性能が向上しています。
高速域でもハンドルの微修正も少なく済みますが、その分、足回りもかためです。
ホンダのクルマも、昔から固めの足回りですが、高速走行時ではフラットな足さばきを見せます(その代わり、後席が跳ねるクルマも多いです)。
GVCプラスは、足回りを固めることをしない一方で、ある程度速度が上がった領域では、トルクを制御し、走行安定性を確保しています。ここがマツダの凄いところ。
ですが、運転する立場で考えると、私は、ホンダ車のフィーリングが好みです。
GVCの働きを感じとるためのポイント
GVCプラスが付いてるけど、どこで働いているのか、教えてくれよ!という方のために、私が感じた、GVCプラスがついていることにより生じる、この動きがおかしいというポイントを紹介します。
それは、空走時の挙動です。
GVCプラスは、ドライバーに気づかれないよう、たえずエンジンのトルクを出したり、絞ったりすることで、車両の挙動安定を図ります。
ドライバーがアクセルを離し、ブレーキも踏んでいない状態(空走時)では、
エンジンの動きが抵抗となり、減速します。
この時、普通のクルマであれば、わずかに前のめりになりますが、
GVCプラス装着車では、全高の高いCX-5でさえ、ピッチングがなく、減速感を感じることがありません。減速時に前荷重になることを防ぐため、何らかのエンジントルクを出しているからだと思われます。
注意深く、クルマに乗ると、このような挙動をしているクルマは、他には、ほとんどないことに気づくでしょう。
直進安定性
これは年次改良前のモデルと年次改良後のモデルで印象が違ったので合わせてお伝えします。
初期型(年次改良前)
凄くかたいというわけではないけれども、まっすぐ走る印象がありました。微細なハンドル操作にも反応し、コントロール性は高い印象がありました。
年次改良後
Gベクタリングコントロールの効果がすこぶる高いと感じました。
普通に走っているだけで、ハンドルにトルクが伝わってきて、ハンドルを持っているだけで、直進してくれる印象があります。
しかし、ミリ単位でハンドル操作を行うと、どれだけクルマに反応が伝わっているかわかりにくく、クルマとの一体感は薄い印象を受けました。
私は特に、ハンドルをゆっくりミリ単位で切っていくタイプなので、余計にそう感じたのかもしれません。
大まかなハンドル操作をしても、じわっとハンドルを切っても同じような動きをします。そのため、高速を走っていると、白線の真ん中に合わせて走るというのが難しく感じました。
運転支援のレーンキープアシストを使い、すべてを任せて走った方が楽なんだと感じます。
どちらが好み?
私は、初期型のフィーリングが好みでした。改良後のモデルは、確かに乗り心地は良いのですが、ハンドル操作に対する車両の応答性がわかりにくく、ダイレクト感では、初期型が上回る印象がありました。
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